「ビジネスと人権」に関する行動計画の3年目意見交換のためのレビューに関するステークホルダー報告書に対し、理事・会員有志で構成される人権分科会より個別意見を提出しました。
参照箇所 | 意見概要 |
1. NAP3年目レビューにおける重要視点 | (1)指導原則の視点 ■ 国として、NAPを通じて何を達成したいか、メッセージを明確にしてほしい ■ 各省庁に期待する役割を明確にした上で、個別の人権課題を横断的に連携して取り組んで欲しい (2)国際社会におけるビジネスと人権の動向からの視点 ■ 未批准な中核的労働基準への批准のご検討 (3)レビュー・プロセスに関する視点 ■ ステークホルダーによる働きかけを待つのではなく、国として積極的にNAPの周知および進捗についての情報開示を行い、ステークホルダーがフィードバックできる仕組みにしてほしい |
2. 日本における「ビジネスと人権の重要課題 | (1)「ビジネスと人権」の視点からの問題提起 ■ 人権方針やDDプロセスがあっても、サプライチェーンのトレーサビリティが不足している中で、各社が優先して取り組むべき人権リスク・課題が特定されていないことが、投資家共通の問題意識。個別テーマ3.-(3)の通り、個別人権課題の知識・意識向上を含めた能力構築の機会提供を、国に期待 (2)日本の人権政策においてとらえられてきた重要課題 ■ 国内特有の人権課題に限らず、グローバル視点での人権課題に視野を広げるべき ■ 国内人権機関の設置を再度検討頂くことに期待 (3)「ビジネスと人権」の視点から日本の重要課題を考える ■ 政府の職員が労働基準法の対象外であるが、官民の人材の流動性の向上、そして企業の人権尊重を促すため、政府職員自らの働き方を始めとした人権保護の政策に期待 |
3. 個別テーマに関するレビュー | (1)人権デュー・ディリジェンス及びサプライチェーン ■ 人権尊重促進政策で、気候変動・自然資本・生物多様性などとの関連性も考慮すべき (2)「誰一人取り残さない」ための施策推進(ジェンダー平等や外国人労働者の保護など) ■ 日本国内の外国人労働者だけでなく、日本企業のサプライチェーン上の移民労働者を含めた国外労働者を視野に入れた施策が必要 ■ 尚、労働人口が減少する中、労働者の尊重は企業価値創造に繋がる視点も必要 (3)ビジネスと人権を実現するための能力構築(人権教育・研修および支援・助言)の推進 ■ 個別人権課題についての理解を深める機会提供を国に期待 ■ 産業別ガイドラインの作成(経産省・金融庁を始めとした各省庁と民間による協力) (4)企業の情報開示 ■ 各社において特定された重要な人権課題など、内閣府令による開示の検討 ■ サプライチェーン上に実在する負の影響の特定とその対応方法など、具体的かつ継続的な取り組み状況が分かる情報開示を促進する施策の検討 ■ 企業の人権尊重に基づいた開示を求める国際動向の中、日本企業の国際競争力が損なわれない国内政策の検討 (7)NAPの実施・モニタリング・改訂の体制整備 ■ NAP実施上の優先課題とタイムフレームの提示 |
報告書の全文や他団体の個別意見につきましては、外務省のウェブサイトに掲載されています。
ビジネスと⼈権に関する⾏動計画推進円卓会議(第6回会合)議事次第
関連資料
ILOより冊子「機関投資家向け『ビジネスと人権』ガイド 投資行動で人権尊重に取り組むためのWhat、Why、How」を公開されています。
「ビジネスと人権」の機関投資家向け冊子 公開