ポートフォリオ構築プロセスから見る運用手法の違い/ESG投資の定義#2

ESG投資と他のサステナブル投資を分ける最大の違いは、前述のように、ESG課題を投資の分析と意思決定プロセスに組み込んでいるかいないかという点です。
機関投資家が実務面で、どのようにESG課題を投資に組み込むのか、ポートフォリオ構築のプロセスから確認してみましょう。

図の左が機関投資の通常の投資ポートフォリオ構築のプロセスです。投資ユニバースを決め、さらにベンチマークや運用スタイルを決めます。そして、次の段階で銘柄選択や銘柄ウェイト(投資比率)を決定します。ESG投資ではその際に、投資対象企業のESGへの取り組みについても評価して、良い評価の銘柄を選ぶことや投資比率を高めます。ESGへの取り組みが良い企業を選択することから、ポジティブ・スクリーニングと呼ばれます。望ましくない銘柄を除外するネガティブ・スクリーニングとは逆の発想です。ここで重要なのは、図の左側に示した機関投資家が通常行う投資の分析と意思決定プロセスに、図の右のように投資対象のESGを評価して、ESG課題を組み込むことです。他のサステナブル投資手法は、このように投資プロセスに組み込むものではありません。これが最大の違いです。

ESG投資についてさらに理解を深めるには、年金基金のフィデューシャリー・デューティ(受託者責任)、サステナブル投資の歴史的変遷などを理解する必要があります。また別の機会に説明します。

JSIF会長 荒井勝

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