EUのサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)のポイント #3(白書2022に掲載)

8.第9条:契約前に開示すべき、持続可能な投資の透明性

  • 該当するファンドを、一般的にダーク・グリーンと呼ぶことがある。

第9条

1項: 金融商品が持続可能な投資を目的としており、インデックスを参照ベンチマークとして指定されている場合には、第6条第1項及び第3項に従って開示される情報は、以下のものを記さなければならない。

(a) 指定されたインデックスがその目的にどのように合致しているか
(b) 当該目的に沿った指定インデックスが、より広範な市場のインデックスとどのように異なるか

2項: 金融商品が持続可能な投資を目的としており、参照ベンチマークが指定されていない場合は、第6条第1項及び第3項に従って開示される情報で、当該目的をどのように
達成するのかという説明を含まなければならない。

3項: 金融商品が炭素排出量の削減を目的としている場合は、第6条第1項及び第3項の規定により、開示すべき情報にはパリ協定の長期的な地球温暖化の目標を達成する観点
から、より低い炭素排出量を目的とすることを含む。

ウェブサイト上などで調べられる多くの解説は、第6条、第8条、第9条に該当するファンドの違いの説明に終始しているが、SFDRでは、投資先企業が優れたガバナンス慣行に従い、「著しい損害を与えない」(DNSH)という予防原則が確保され、環境及び社会の目的が著しく損なわれないようにすることが規定されている。第4条がFMPsレベル、第7条が金融商品レベルでの、持続可能性への悪影響の透明性を求めている。
主要な悪影響(PAI)と関わる条項であり、重要なので解説しておきたい。

なお、PAIについては、EUからミニマム・セーフガードに関する最終報告書「Final Report on Minimum Safeguards」が2022年10月に発表されている。

9.第4条:事業体(FMPs)レベルでの持続可能性への悪影響の透明性

第4条

1項: FMPs は、自らのウェブサイトにおいて、以下の事項の公表を継続しなければならない。

(a)投資の意思決定が持続可能性の要素に及ぼす主要な悪影響を考慮する場合(principal adverse impacts of investment decisions on sustainability factors)、その規模、活動の性質及び規模並びに利用可能な金融商品の種類を十分
に考慮し、それらの影響に関するデューディリジェンスの方針に関する声明文

(b)持続可能性要因に対する投資判断の悪影響を考慮していない場合、そのような悪影響を考慮する意図の有無及び時期に関する情報を含む、考慮しない理由についての明確な理由

2項: 金融市場参加者は、第1項(a)に従って提供される情報に、少なくとも次のものを含めなければならない。

(a)主要な広告宣伝の持続可能性への影響及び指標の特定と優先順位づけに関する自社の方針に関する情報

(b)主要な持続可能性への悪影響の説明と、それに対して取られた、または計画されている措置

(c)該当する場合は、指令2007/36/ECの第3g条に従った取り組み方針の概要

(d)責任ある企業行動規範、デューディリジェンスと報告に関する国際的に認められた基準への準拠、及び関連する場合における、パリ協定の目的との整合性の度合いについての言及

3項: パラグラフ1からの緩和により、金融市場参加者は、2021年6月30日から貸借対照表日において、会計年度中の平均従業員数500人の基準を超える場合、投資決定が持続可能性要因に及ぼす主要な悪影響に関するデューディリジェンスの方針に関する声明を公表し、ウェブサイト上で維持するものとする。その声明には、少なくとも第2項で言及された情報が含まれていなければならない。

荒井勝

#4へ続く


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