4.具体的な開示要求事項
具体的には、a)持続可能な投資、b)持続可能なリスク、c)持続可能な要因の3つの主要な概念に関連する要求事項が定められている。
5.事業体レベルと金融商品レベルでの開示
従業員が500人以上の場合は、事業体レベル及び所定の金融商品において、FMPsがPAIを考慮しているか、また考慮している場合はどのように考慮しているか、開示する必要がある。また、持続可能性リスク(環境、社会、ガバナンスに関する事象、または発生した場合に投資価値に実際または潜在的に重大な悪影響を及ぼす可能性のある状態)、及び持続可能性要因(環境、社会、従業員に関する事項、人権尊重、腐敗防止、贈収賄防止に関する事項)に関する投資判断の主たる悪影響、並びに企業及び商品レベルでの関連開示の概念を導入している。FMPsは以下の事項をウェブサイトで説明し、開示する必要がある。
- 持続可能性のためのリスク管理(持続可能性リスクの投資決定プロセスへの統合)
- 報酬制度と持続可能性リスクとの整合性
- 投資決定及び/または投資アドバイスが持続可能性要因に与える主要な悪影響を考慮する場合は、その主要な悪影響と手続き
SFDRは、持続可能な投資と環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮の程度により、金融商品を、第6条、第8条、第9条の3種類に分けて定義しているが、商品レベルでは、それぞれ開示すべき事項が定められている。
6.第6条:持続可能性リスクの統合の開示
第6条
多くの解説では、第6条は持続可能性を投資戦略に組み込まないファンドとして説明されている。第8条、第9条の条件を満たさないとグリーンなファンドとはみなされず、第6条のファンドに該当することになるため、そのような説明になっているのだろう。
だが、第6条では第7条、第8条で触れられている開示について、次のような重要な点を規定している。
1項: FMPsは、契約前の開示に以下の説明を含めなければならない。
(a)持続可能性リスクが投資判断に統合される方法;
(b) 持続可能性リスクが、自らが提供する金融商品のリターンに与え得る影響についての評価結果
FMPs が持続可能性リスクは関連性がないと判断した場合、
(a) の説明には、その理由の明確かつ簡潔な説明を含まなければならない。
2項: ファイナンシャルアドバイザーは、契約前のディスクロージャーに以下のような説明を含めなければならない。
(a) 持続可能性リスクを投資や保険に関するアドバイスに組み込む方法
(b) 助言する金融商品のリターンに持続可能性リスクが及ぼすと思われる影響の評価結果
ファイナンシャル・アドバイザーが持続可能性リスクは関連性がないと判断した場合、(a)の説明には、その理由の明確かつ簡潔な説明を含まなければならない。
3項: 本条第1項及び第2項の情報は、以下の方法で開示されるものとする
3項は、(a)から(l)まで12のFMPs別に、欧州規制の条項を示している。詳細は省略する。
7.第8条: 契約前開示での環境的あるいは社会的特性の促進(promotion)の透明性
- 該当するファンドを、一般的にライト・グリーンと呼ぶことがある。
- 契約前開示については、目論見書としている解説がある。
第8条
金融商品が、様々な特性のうち、環境的、社会的特性、またはこれらの特性の組み合わせを促進する場合、投資先企業が健全なガバナンス慣行(good governance practices)に従っているならば、第6条第1項及び第3項に従い以下を開示する。
(a)それらの特性がどのように達成されるか
(b) 指数が参照ベンチマークとして指定されている場合は、その指数がこれらの特性に合致しているかどうか、またどのように合致しているか
荒井勝
#3へ続く
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