早稲田大学大学院の講座「企業の社会的責任と責任投資」#6

第六回目となる今回は、LIFE MAP合同会社の竹川 美奈子氏が「サステナブルな金融リテラシーの育成と提供」をテーマにお話しくださいました。
第一回目の総論講義にて説明のあったサステナブル投資の生態系の中では、今回は個人・市民、およびアドバイザーに当たります。

講義では4つのパートにわけて説明がなされました。

  1. アドバイザーの役割
  2. 資産形成とサステナブル投資
  3. 現状と課題
  4. 選択肢

についてです。

まず個人に向けた投資アドバイザーの役割が紹介され、サステナブル投資・ESG投資に詳しい個人向けのアドバイザーは、現状では数が限られている点が指摘されました。

次に、個人で資産形成をしていく際に、どのようにESG投資やサステナビリティと関わっていくのかという点について、下から①国の制度(公的年金保険)、②勤務先(退職給付=退職一時金や企業年金)、③自分で準備する(預金や投資信託・株式等)というピラミッドの図を用いて説明がされました。個人として意識すべきなのは、③だけではないことが強調されました。

続いて、個人が投資を検討しやすい投資信託ファンドの現状が説明され、その課題として二点あげられました。まず①ファンドの継続性として、信託期間が無期限及び残高の多いファンドが少ないという点があります。また、②運用哲学/投資プロセスについて十分に記載しているファンドが少ない点や、中身に関して、投資先の上位に並ぶものが大規模企業に偏りがちであるという点が指摘されました。また、販売会社がテーマ型など販売しやすい商品を必要とする構造があるため、運用会社がESGに焦点を当てたファンドを紹介しても、なかなかそれを選択するインセンティブがないことや、フィナンシャル・プランナーの中でも独立した立場で投資助言まで実施できる立場の人がそもそも少ないことも構造的な課題点として挙げられました。

最後に、個人にとっての投資信託の選択肢として、①ESGの各指数に連動する投資信託・ETF (パッシブ運用)、②サステナブル投信の中から情報開示がしっかりした商品を選ぶ、③真っ当なアクティブ投信を探すということが示されました。特に、SRIやESGといった名前だけにとらわれず、運用哲学をもとに長期的な視点で投資を行っているファンドかどうかを見極めることが重要であるということが指摘されました。

事業者としてCSR活動、機関投資家としてのESG投資に着目しがちですが、個人の資産形成を実行する上での個人投資家という立場があり、その中での サステナブル投資との関わり方について改めて考える機会となりました。

※執筆担当…御代田有希(JSIF運営委員)

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