早稲田大学大学院の講座「企業の社会的責任と責任投資」#4

第四回目となる今回は、JSIF会長の荒井勝より「サステナブル投資を支える国内外のさまざまな組織と活動」をテーマにお話ししました。

第一回目の総論講義にて説明のあったサステナブル投資の生態系の中では、今回はNGO/NPOに当たります。他方で、JSIFは会員の方で成り立っている組織であり、その意味では規制当局・政府・取引所以外の全てのプレイヤーの集まりであるといえます。

講義では、サステナブル投資・ESG投資の概念の全体像を把握するため以下の4つの観点からお話ししました。

  1. 各国SIF並びにGSIAの役割とサステナブル投資の歴史的な流れ
  2. ESG投資の拡大とその背景
  3. わが国のESG投資の拡大とその背景
  4. 主要な開示フレームワーク

冒頭、重要な概念として(1)「サステナブル」、(2)「責任投資」と「ESG投資」、(3)「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」、(4)「エンゲージメント」などをお話ししました。

具体的な内容としてはまず、サステナブル投資戦略、すなわち運用手法の分類・定義について説明しました。次に歴史的背景からサステナブル投資(SRI)とCSRの変遷が述べられ、国連が支援する責任投資原則(PRI)が発足するまでのサステナブル投資とESG投資との違いを指摘しました。欧米を中心とした年金基金にESG投資が広まった背景と、日本においてESG投資が広まった経緯を説明しました。最後に、投資家が利用できる情報開示のフレームワークについて紹介しました。体系的にサステナブル投資・ ESG投資についての理解を深める機会となり、受講生からも活発な質問があがりました。

まとめとして、①サステナブル投資に関する分類の定義づけ・残高の集計を定期的に行っている各国のSIFの役割、②規制当局および年金法改正を含めた各国政府官庁の役割、③ESG投資を推進するPRI、また投資家の判断材料となるような情報開示を進める様々な団体・組織の取り組みを中心にお話ししました。

※執筆担当…御代田有希(JSIF運営委員)

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