早稲田大学大学院の講座「企業の社会的責任と責任投資」#13

十三回目(最終回)は、担当教員である岸上有沙氏より前回同様に受講生からの質問が多かった部分について、まとめ講義2.として以下の点を中心に講義が展開されました。

  1. サステナビリティ視点での多層構造における銀行の役割と課題
  2. サステナブル事業・ファイナンス事例②化石燃料関連
  3. NPO/NGOとの連携
  4. サステナブル投資の定義とインパクト投資の行方

についてです。

まず、ESG評価に次いで追加質問の多い「銀行」について、サステナビリティに関する中央銀行の役割および、上場企業として評価される側、銀行業務を行う側の両側面を持つ大手銀行における課題、そして地方銀行におけるESGの実践の試行錯誤が紹介されました。特に地方銀行については、これまで議論されてきた食肉産業や気候変動対策などグローバルな関心事と、地域経済の課題と地域金融の役割に関して、日本の実践例をまとめたガイダンスの紹介と伴わせて紹介されました。

環境省_「ESG地域金融実践ガイド」の公表について
環境省では、地域の持続性の向上や地域循環共生圏の創出に資するESG金融促進を図るべく「地域におけるESG金融促進事業」で9機関の支援を実施し、その支援結果からESG地域金融に取り組もうとする金融機関向けの手引きとして「ESG地域金融実践ガイド」を取りまとめましたのでお知らせ致します。 本ガイドはESG地域金融実践におけ...

サステナブル事業・ファイナンスの具体的事例紹介として、今回は化石燃料関連会社への投融資の動向にフォーカスが当てられました。単純に除外対象として扱うのではなく、 ビジネスモデルの変革が必要となっている産業であるガス・石油セクターにおける移行モデルの確立に向けた協働を機関投資家と議論中のRepsol社のサーキュラー・エコノミーの事例が紹介されました。

続いて、ステークホルダー資本主義として、知識・情報や意見を有しているNGO/NPOとの連携が重要になっている点が改めて示されました。生態系の中のそれぞれのプレイヤーが立場の違い・ギャップを利用することで取り組みを前進させることができることが改めて強調されました。

最後に、第8回に紹介されたESG投資の過去・現在・未来への補足として、サステナブル投資の定義とインパクト投資の行方が紹介されました。インパクト投資の位置づけが各地で再検討されている中、日本でも議論が進行している環境省のポジティブインパクトタスクフォース金融庁のインパクト投資に関する勉強会の紹介がありました。

今回で2019年春学期の講義がすべて終了しました。Covid-19の影響でオンライン開催となり、リアルでは一度も集まる機会がなかったのですが、受講生の方の積極的な参加で双方型の講義になりました。

ご協力いただいた講師の方々、ご参加くださった受講生の方にこの場をお借りして御礼申し上げます。

受講生からは、

「それぞれの登壇者の立場から、多面的な視点でサステナビリティやESGについて学べたことが有益だった」

「ビジネスにつなげるための取り組みは現在進行中であると感じ、その取り組みを強化していきたいと感じた」

「先進的なテーマでビジネススクールに相応しかった」

といった声も聞かれました。
早稲田大学大学院での2019年春学期講座は終了となりますが、当講座受講生からもJSIFでの更なる深堀セミナーの機会を希望する声もあり、JSIFでは今後も不定期に勉強会を開催していく予定です。

ご関心のある方はぜひ引き続きウェブサイトをチェックしていただき、セミナー等に参加していただければ幸いです。

※執筆担当…御代田有希(JSIF運営委員)

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