早稲田大学大学院の講座「企業の社会的責任と責任投資」#2

第二回目となる今回は、CSRデザイン環境投資顧問株式会社より田邊 佳人氏に「不動産アセットにおけるサステナブル評価と投資」をテーマとしてお話頂きました。第一回目総論講義にて説明のあったサステナブル投資の生態系の中では、今回は評価機関とアドバイザーに当たります。

一口に不動産投資といっても、①民間企業による実物不動産投資と、②投資家が資産運用目的で行う投資の二種類があります。

まず前半で①個別不動産(建物レベル)のサステナビリティ評価を行うグリーンビル認証について、後半で②不動産のESG投資(会社・ポートフォリオレベル)、その中でも特に不動産ファンド・不動産会社のESGパフォーマンス評価であるGRESBについて紹介がされました。

グリーンビル認証は、投資家が利用できる情報を提供し、サステナブルな不動産が評価される市場を作っていくという役割があります。受講生からは、様々なグリーンビル認証の種類、欧米と日本における認証制度の普及率、「標準化」と「地域特化」という異なる流れについて、また認証の賃料との因果関係等について質問が寄せられました。
後半で、不動産のESG投資については、以下の3点から説明がされました。

  1. 選別(スクリーニング)については、ポジティブ・スクリーニングである環境性能の高い不動産を選別する投資、ネガティブ・スクリーニングである環境性能が低い不動産を除外する投資について説明されました。
  2. 関与(エンゲージメント)手法では、既存ビルの省エネ改修投資や、(一般的な投資家と企業のエンゲージメントと異なり)ビルオーナーとテナント が省エネ・環境配慮を推進するグリーンリースが紹介されました。
  3. 統合(インテグレーション)においては、不動産投資運用プロセス全体へのESGの体系的な組込み、例えば(1)新規取得時にESG課題を考慮(2)継続モニタリング時にESGを考慮(3)運用段階でのPDCAサイクルにESGを組み込むといった場合に、不動産会社・ファンドのESGインテグレーション実践を評価するGRESBの活用、投資先のGRESBスコアそのものを投資先管理に組み込む機関投資家について示されました。

全体を通じて活発な質疑が行われ学びの多い講義となりました。

※執筆担当…御代田有希(JSIF運営委員)

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